ナノピア® P-FDP
当ページは医療関係者のみなさまを
対象として作成しております。
※ご使用に際しては添付文書をよくお読みください。
FDPとは

FDPは、安定化フィブリンのプラスミン分解産物(Dダイマー)と、フィブリノゲン、不安定フィブリンの分解産物(X分画、Y分画、D分画、E分画)に大別されます。よって、FDP測定では図に示すようなさまざまな種類の分画を捉えることが必要となります。
ナノピア® P-FDPでは、FDPのD分画と反応するモノクローナル抗体を使用しており、E分画を除くすべてのFDPの分画と反応します。このため、従来法である血清中FDP測定試薬との相関が比較的良好です。
ナノピア® P-FDPは、血漿、血清の量検体での測定が可能です。
FDP | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
フィブリノゲン | SF (FM) |
高分子FDP | X分画 | Y分画 | DD分画 | E分画 | ||
血清中DP 測定試薬 |
+ | + | + | + | + | + | + | + |
ナノピア® P-FDP |
- | - | + | + | + | + | + | - |
ナノピア® P-FDPは、FDPのD分画と反応する抗体を使用しており、フィブリノゲンとは反応しないため、血漿、血清いずれの検体でもFDPが測定できます。
血清検体における問題点
従来FDPの測定に用いられている抗体はフィブリノゲンに反応するため、血漿検体では測定できず、血清検体を使用していました。しかし、血清検体では以下のような問題が認められます。
- 血清にも一部フィブリノゲンが残存する場合がある→FDP高値
- 血餅部分(フィブリン塊)にFDPが一部取り込まれる場合がある→FDP低値
残存フィブリノゲン存在例

試薬 | 血清FDP | ナノピア® P-FDP | Dダイマー | |
---|---|---|---|---|
検体 | 血清 | 血清 | 血漿 | 血漿 |
測定値 (µg/mL) |
56.2 | 5.6 | 7.6 | 2.7 |
血清中FDP測定試薬ではFDPが高値を示しましたが、ナノピア® P-FDPでは低値になり乖離した検体です。
ウエスタンブロッティングを実施したところ、血清検体にもフィブリノゲンのバンドが認められました。血清中FDP測定試薬では残存フィブリノゲンを測り込むことにより、FDP測定値が高値になったと考えられました。
ナノピア® P-FDPはフィブリノゲンとは交差反応しないため、血漿の測定ができ、血清の残存フィブリノゲンの影響も受けません。
(日本大学医学部附属板橋病院データ)
FDPの巻き込み例

検体 | 検体A | 検体B | 検体C | |||
---|---|---|---|---|---|---|
血漿 | 血清 | 血漿 | 血清 | 血漿 | 血清 | |
測定値 (µg/mL) |
65 | 53 | 79 | 47 | 94 | 59 |
血漿検体にCa2+とトロンビンを加え、擬似的に血清検体を作成しました。ここに示すA、B、Cは血漿検体と比べて血清検体が低値を示した検体です。いずれの検体も、血漿と比べ血清ではフィブリノゲンのバンドの消失と同時にX、Y分画のバンドも薄くなっています。D分画のバンドの消失は認められませんでした。これらの検体では、血漿から血清となる時に、FDPの一部がフィブリン塊に取り込まれたため、血漿と比べ血清検体のFDP測定値が低くなったものと考えられます。
FDPの出現は生体内の線溶現象を反映します
感染症 | グラム陰性菌感染症、重症グラム陽性菌感染症、重症ウイルス感染症 |
---|---|
ショック | |
悪性腫瘍 | 癌、肉腫、白血病 |
肝疾患 | 肝硬変、劇症肝炎 |
産科的疾患 | 胎盤早期剥離、羊水栓塞、死胎停留、胞状奇胎、妊娠中毒 |
血管内溶血 | |
組織損傷 | 大手術後(肝、前立腺、膵、副腎の手術、長時間にわたる体外循環、広範囲の外傷、熱傷) |
血管病変 | Kasabach-Merritt症候群、心臓瘤、大動脈瘤、血栓性血小板減少性紫斑病、膠原病、溶血性疾患 |
その他 | 移植臓器の拒絶反応、蛇毒製剤(defibrase)の投与、血栓溶解療法施行中 |
FDPはDICの診断基準の検査項目のひとつです
DIC(播種性血管内凝固症候群)は1988年に厚生省から改訂版の診断基準が、また、1992年には血液凝固異常症調査研究班より松田試案が出されています。いずれもFDPが検査項目として組入れられています。
FDPスコア | 血漿FDP(ナノピア® P-FDP) | 計 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
0 | 1 | 2 | 3 | |||
血清FDP | 0 | 206 | 33 | 0 | 0 | 239 |
1 | 6 | 44 | 10 | 0 | 60 | |
2 | 4 | 9 | 43 | 4 | 60 | |
3 | 0 | 0 | 5 | 29 | 34 | |
計 | 216 | 86 | 58 | 33 | 393 |
出典:松野一彦 他 臨床病理 vol.51 補冊2003 P165
DIC診断基準(松田試案)
DICの原因となる疾患が存在すること | ||||
---|---|---|---|---|
血小板数(/L) | 10万未満 | 10万~15万 | 15万以上 | |
FDP | 10µg/mL以上 20µg/mL未満 |
DICの疑い | DICを否定できない | |
20µg/mL以上 30µg/mL未満 |
DIC | DICの疑い | DICを否定できない | |
30µg/mL以上 | DIC | DIC | DICの疑い |
血液(凝固・線溶) 製品一覧
当ページは、当社製品を適正にご使用いただくため、国内の医療関係者(医師、歯科医師、薬剤師、臨床検査技師、看護師など)のみなさまを対象に作成したものです。国外の医療関係者、一般の方に対する情報提供を目的としたものではありませんのでご了承ください。