安全性試験
In vitro 肝毒性評価
- 1胆汁うっ滞型薬剤性肝障害試験
胆汁酸を胆管へ排泄するトランスポーターが薬剤により阻害されると、胆汁酸の細胞内への蓄積が起こり胆汁うっ滞を引き起こします。本試験系では、胆管様構造を持つサンドイッチ培養ヒト肝細胞を用いて、胆汁うっ滞型薬剤性肝障害のポテンシャルを評価します。 - 2ミトコンドリア毒性試験
ミトコンドリア毒性は、FDAにおいてblack box warningとされている化合物のうちの約80%で報告されている重要な肝毒性機序です。HepG2細胞を用いて、Crabtree効果を利用した細胞毒性評価を行うことで、ミトコンドリア由来毒性とその他の毒性を分離評価します。 - 3反応性代謝物検出
- 1システイントラップ試験
薬剤性肝障害の発生機序の一つとして、化合物の代謝過程で生じる反応性代謝物の関与が言われています。反応性代謝物は不安定でそのままの状態では検出することが困難なため、トラップ剤として35S-システインを用い、液体シンチレーションカウンターを用いて反応性代謝物の生成量を定量します。 - 2KCNトラップ試験
トラップ剤としてK14CNを用い、システインではトラップできない反応性代謝物を補足し、定量します。 - 3アシルグルクロナイド検出試験
カルボキシル基がUGTによりグルクロン酸抱合をうけて生成するアシルグルクロナイドは、反応性が高く、肝障害の原因になりうることが知られています。アシルグルクロナイドが生成するか否か、また、生成したアシルグルクロナイドが異性化するか否かを検討します。 - 4共有結合試験
反応性代謝物の毒性を定量的に評価するために、候補化合物のRI標識体を用いて試験を行います。ヒト肝ミクロソームまたはヒト肝細胞と一定時間インキュベーションを行い、蛋白質との共有結合量を測定します。また、ラットの肝代謝酵素を誘導させた後、RI標識化合物を投与することで、in vivoでの血漿や肝組織蛋白質との共有結合量の評価を行うことも可能です。
- 1システイントラップ試験
トキシコキネティクス測定
安全性試験において得られた検体について定量分析系を開発し、バリデーションを行い、GLP基準※に従って検体測定を実施します。
LC-MS/MSを用いた濃度測定では、Data Integrity(DI)に対応した試験実施が可能です。
- ※GLP(厚生省令第21号)、「医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する省令」を遵守し、測定します。
2022年7月 医薬品医療機器総合機構調査 TK測定 評価結果:適合
遺伝子発現解析試験
遺伝子の網羅的発現解析、ターゲット遺伝子発現量の測定およびヒト肝毒性の予測等、幅広いニーズに合わせた試験の実施が可能です。
バイオマーカーの測定
安全性試験で得られた検体について、測定法開発、バリデーションを実施したのち、GLP基準下で検体測定を実施します。
- ビーズサスペンジョンアレイ法、超高感度デジタルELISA法あるいはECL法を用いてマルチプレックスで測定します。
- real-time PCR法、ビーズサスペンジョンアレイ法あるいは高感度核酸分析技術(PALSAR法※)を用いて遺伝子バイオマーカーを測定します。
- ※PALSAR: Probe Alternation Link Self-Assembly Reaction